特集はアールヌーヴォー建築。冒頭の「アールヌーヴォー建築とは何か」というテキストと、その原点となったベルギーの建築家、ヴィクトール・オルタやポール・アンカールについて書いた。ただし特集監修者の橋本文隆さんにも細かく手を入れてもらっている。
アールヌーヴォーは19世紀末の前衛であって、このムーブメントをきっかけに建築は古典主義と決別し、20世紀モダニズムが生まれたとという見方がある。装飾に動植物の美を引用したことがダーウィンの進化論を結びついていたり、複雑な装飾は鉄とガラスを扱う技術革新の賜物だったりする。一方、有機的な曲線を積極的に取り入れる現在の建築のトレンドに、アールヌーヴォーとの共通性を見て取ることもできる。
写真はオットー・ワーグナーのマジョリカハウス。ある年に寄ったウィーンで、時間を持て余して観に行った。
Apr 1, 2009
AXIS, Apr 2009
特集は「触覚、聴覚、嗅覚、味覚のデザイン最前線」。触覚の研究者の佐野明人さんやテクタイル展の主宰者のひとりでもある筧康明さんらに取材したページと、デジタル一眼カメラのシャッター音などを追求するソニーのモノ造り本部技術開発室に取材するページで、テキストを担当した。
人間は触覚についてとても敏感だが、普段はあまり意識することがない。数値化も視覚化も難しい。感覚の研究者にとっても未知の領域が大きいらしい。
デジタル一眼カメラは、シャッター音を工夫して付加価値を高めるというよりも、カメラの機能を無駄なく高めることで必然的にシャッター音をよくしようという姿勢が印象的だった。つまりは音の機能美ということになる。
表紙インタビューはtakramの田川欣哉さん。彼らがかかわった2009年ミラノサローネの東芝の展示も、触覚をデザインに取り入れた展示ゆえに印象に残った。水を満たした電球型のLED照明が、表面に触れると心臓のように鼓動を始める。写真はその時のもの。
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